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『猫と高齢者 第2弾』の講演会に行ってきました

ペットライフネット主催『猫と高齢者』講演会に行ってきました

概要

2017.7.29(土)大阪市立中央会館
NPO法人ペットライフネット主催『猫と高齢者』第2弾の講演会へ行ってきました。

今回の基調講演ゲストは、長らくペット業界の闇にも深く切り込んだ取材を重ねてこられ、著書「犬を殺すのは誰か ペット流通の闇」でもその名を知る方は多いであろう、朝日新聞記者の太田匡彦さん、そして日本だけでなく米国獣医師の免許を持ち虐待、安楽死など獣医の視点で動物福祉について多くの講演を行う獣医師・保護動物アドバイザー西山ゆう子さんでした。

その後のパネルディスカッションには、おなじみ大阪ねこの会代表・荒井りかさん弁護士・細川敦史さんも参加する、豪華な内容でした。

今回はお写真がないので、たまに癒やしのフリーPHOTOをはさんでいきますね^^;

「猫を巡るビジネス環境および高齢者の飼育放棄問題について」朝日新聞記者・太田匡彦さん

わたしは猫の保護活動を通じてさまざまなペットにまつわる諸問題を知り厳しい一面も知っているつもりでいましたが、それでもなお太田さんのお話は衝撃的なものばかりでした。それぞれが、きちんとデータや資料とともに裏付けされた事実であり、あらためて、ペットをとりまく環境の不備、不均衡な需要と供給のバランスを感じざるをえませんでした。

ペット飼育数が減っているわけではない

タイムリーに、TVでは安倍政権と加計学園にまつわる報道が連日流され、獣医学部や獣医師の問題やペットにまつわる話題を耳にすることも多かったと思います。わたしもそのなかで「ペットの飼育頭数は減少している」というはなしを聞いたことがありますが、これは人口減少に比例していることがデータからわかりました。なので人口に対してペット飼育数が減っているわけではありません。

不況下でもペット市場は伸びる

データから、年間支出が年々減っていくのに反比例してペット関連支出は増えていることがわかりました。内訳は主にフード代、動物病院代、その他です。

過剰繁殖の隙間に落ちていく命たち

ペット業界の闇を取材してきた太田さんが主に見てきたのは「犬」を取り巻く環境だったので、犬を例にあげて説明がなされました。かつて、生産される犬のうち、障害や疾患があり「売り物」にならないものは、(全ての繁殖業者ではありませんが)業者によって保健所に持ち込まれたりしていました。また、ペットショップで大きくなりすぎて売り手がつかないものも持ち込まれていました。これは、自治体に持ち込まれた際のデータとともに明らかになっています。

そして2013年に『動物愛護法の改正』があり、保健所は業者からの引取を拒否できるようになりました。しかし、業者は処分したい犬に困ります。

そこで、2013年以降に犬の大量遺棄事件が相次ぎました。
山中に多くのブランド種の犬が捨てられ、亡くなったりひどい状態で保護されたりしています。

引き取り屋ビジネス

「愛護動物の遺棄(捨てること)」は犯罪です。だから堂々と処分をすることができない業者に対して「引取屋」が横行しはじめます。1頭につき数千円〜数万円で引き取るのです。

大阪ねこの会代表・荒井さん(パネルディスカッションのなかで)
『一人が面倒を見れる動物の数は限られている。安いお金で動物を引き取るところには引き取り希望が殺到するからすぐにパンクするはず。それがないなら、動物は世話をされてないということ』と。本当にそのとおりだな、と思いました。

中には、30匹の猫を引き取りしてもらった1ヶ月後に思う所あり猫のことを問い合わせた所、全て里親が決まったのでもう手元にいないと返答があった団体もあるそうです。保護活動をしている方なら、1ヶ月で30匹の里親さんが一気に決まるなんて、ありえないってわかりますよね…

ペット業界の深い闇とは…

そのほかにも、流通における問題点が数多く指摘され、法改正のポイントも紹介されました。まさに来年の2018年が動物愛護法の改正チャンスなのです。

相次ぐ繁殖ではびこる先天性疾患と障害

命をかけ合わせ誕生させるブリーディング。
本来は種の保存を目的とした命を扱う尊いものであるはずです。

しかし、我が国日本ではその尊い仕事を利益優先でお金儲けのために誰でもかんたんな届けさえ出せばできるようになっています。しかし、近親交配など素人による繁殖行為はたいへん危険で、犬種によってさまざまな遺伝性疾患や障害を持って生まれてくる子犬も少なくありません。

もちろん、そういう子犬はオークションでいい値段がつかない、もしくは売り物にもならないために『余剰分(悲しい言い方ですね)』になってしまい、業者としては持て余します。

知識や経験のない繁殖の犠牲になるのは動物です。

(中には、きちんとした知識と実績のもとに慎重にブリーディングを行う方々もいます。交配をシリアスに行い、譲渡したあとも責任を持つことを考えればコスパ的にいい商売であるはずがないのです。)

”猫ブーム”で増えた猫が犬と同じ轍を踏む

近年は犬よりも猫の飼育頭数が伸びています。ここ数年、ネコノミクスと呼ばれる猫ブームが続き、猫グッズだけでなく「猫そのもの」が多く生産され、流通に出回るようになっています。これまでは「犬専門」だった繁殖業者が「猫」も扱うようになっているとのことでした。

猫にみられる遺伝性疾患:スコティッシュフォールドの悲劇

猫にも猫種による様々な遺伝性疾患があり、具体例でよく折れ耳のスコティッシュフォールドが出されます。スコティッシュフォールドといえば、アニコム損害保険の調査によると人気ランキング9年連続1位、とくにペタンと垂れた折れ耳の子が人気で高値だそうです。

スコティッシュフォールド

スコさんは、まるいお顔とくりっとした目が魅力的でとっても可愛いですよね。人気なのもうなずけます。しかし、報告によると折れ耳のスコさんのうちほぼ全てが『骨軟骨形成不全症』という遺伝性疾患を発症するということなのです。

骨軟骨形成不全症とは?

この病気は骨や軟骨(関節がある場所で骨を覆う組織)といった組織の成長や発達の障害によって起こります。注意して頂きたいのは骨軟骨異形成症はあくまでも病気の総称であり、さらに細かな病気に分けられるということです。

歩くと痛みが出ることもあるため、あまり活動しなくなってきます。

(出典:骨軟骨異形成症 〜スコティッシュ・フォールドを選ぶのやめませんか?〜 |MAL

折れ耳のスコさんは、よく売れます。
なので業者は折れ耳のスコさんを生産したいのです。折れ耳同士でかけ合わせた場合、折れ耳のスコさんが生まれる確率は75%といわれています。そしてそれは同時に遺伝性疾患を持つ子を75%の高確率で意図的に生み出しているということになります。

問題がある繁殖をすることは禁止されている。

環境省の『動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目』第五条三項によると、

(イ)販売業者、貸出業者及び展示業者にあっては、販売、貸出し又は展示の用に供するために動物を繁殖させる場合には、遺伝性疾患等の問題を生じさせるおそれのある動物、幼齢の動物、高齢の動物等を繁殖の用に供し、又は遺伝性疾患等の問題を生じさせるおそれのある組合せによって繁殖をさせないこと。ただし、希少な動物の保護増殖を行う場合にあってはこの限りでない。

と、あります。
つまり遺伝性疾患を発症することが100%といわれる折れ耳同士のスコティッシュフォールドの交配は本来であればこれに反するのではないか、と講演の中で指摘がありました。

そして、これは下記の法律によって遵守することを定められています。

動物愛護法 第21条第一項
第一種動物取扱業者は、動物の健康及び安全を保持するとともに、生活環境の保全上の支障が生ずることを防止するため、その取り扱う動物の管理の方法等に関し環境省で定める基準を遵守しなければならない

また、これらを遵守していない業者に対しては下記のような定めがあります。

第23条第一項
都道府県知事は、第一種動物取扱業者が第二十一条第一項または第二項の基準を遵守していないと認めるときは、その者に対して期限を決めて、その取扱う動物の管理の方法等を改善すべきことを勧告することができる。

さらには、その勧告に従わない業者に対しては都道府県知事は、期限を定めてその勧告に係る措置とるべきことを命ずることができ(第二十三条第三項)、これに違反した者には百万円以下の罰金に処することができます。

なぜ、取り締まれないのか?

しかし、日本においてはこうした遺伝性疾患のある交配は多く行われており、折れ耳のスコティッシュフォールドも全国のペットショップで店頭に並び続けています。その繁殖業者をたどれば、ただちに前述にあてはめて取り締まることができるはずですが、なぜ何もお咎めなしなのでしょう。

今回は、スコティッシュフォールドを具体例で出しましたがこうした遺伝性疾患の問題はさまざまな犬種・猫種にみられます。

また、犬に比べて猫はまだ全体集団が小さいため、業者による過剰交配で遺伝子疾患が広がりやすいのでは、という懸念もあるそうです。

長くなるので次に続きます!