「ペット愛護のありかたを考える 法改正を前に」社会への見方・私の視点を聴く〜NHKマイあさラジオ

「ペット愛護のありかたを考える 法改正を前に」社会への見方・私の視点を聴く〜NHKマイあさラジオ

NHKマイあさラジオ「社会の見方・私の視点を聴く」にて、細川弁護士が動物愛護法の改正について語られたのをテキスト化しました。

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今、動物の愛護及び管理に関する法律、いわゆる「動物愛護法」の改正の議論が進んでいます。早ければ、次の臨時国会にも改正法案が提出されます。今のペットを取り巻く状況や法律の議論の焦点について、動物の福祉や権利に詳しい弁護士で、ペット法学会会員の細川敦史さんに伺います。

インタビュアー(以下、イ)
「細川さんおはようございます。」

細川弁護士(以下、細)
「おはよございます」

イ「現在でも、犬やネコなどの動物は、動物愛護法によって虐待からある程度は守られていると感じるんですけれども、実際のところはどうなんでしょうか?」

細「そうですね、年度も改正されて少しずつはよくなっているんですが、それでもまだ不十分なところが多いと感じています。たとえばですね、繁殖業者さんなどが、子犬や子猫を大量生産するために、いわゆる”子犬工場”と呼ばれるものがあるんですけども、そういったところで何度も子供を産ませ続けたり、過密な場所で飼育している例もちきどきあります。その状況が虐待であるとしても罪に問わせることが難しいケースもあるんです。

わたしが関与したある事例ですと、ある繁殖施設で2メートル×4メートルのコンクリート製の囲いのなかに50匹くらいのさまざまな種類の犬が詰め込まれている状態がありました。」

イ「2メートル×4メートルに50匹?!」

細「そうですね。みんな泣き喚くような状態ですね。そういったときに、法令上の数値の規制がないんです、ケージの大きさがどれくらいじゃなきゃいけないとか、決められたものがないわけですから、ふつうの方から見たら虐待じゃないかって思っても、実際に警察や検察のなかで証拠として示して捜査をお願いしても、最終的には難しいんだとような判断になりがちです。」

イ「そこで、細川さんは法律の中にも、ある程度数値が入った規制を設けるべきだとお考えなんですね」

細「そうですね。具体的な数字をもっていれてしまうと、それによって監督する自治体も指導・監督がしやすいといったことにつながると思います。」

イ「ほう、ただ一律にどのくらいの大きさに何匹というふうに規制をかけてしまうと、実態と合わなくなってしまったり、難しい点って出てこないんですかね」

細「たしかに、ペットの業界の方々からそういったご意見も頂いているところではありまして、いろんな動物の種類がある中で、どうやって数字を決めていくんだってのは、なかなか簡単ではないと思うんですけれども、だからってやらない理由にはならないですね。たとえば、犬でしたら、小さいもの、中型のもの、大型のものくらいの括りで、体の大きさの何倍とかですね、そういったことにすれば少し複雑にはなりにくいのではないかなと思っております。」

イ「なるほど」

細「そうすることによって、やっぱり一番はですね、指導監督する自治体側が、今は感覚的におかしいと思っても指導のしようがないっていうのが現状でして、行政の方も困っておられるようなので、その後押しになればなと考えています。」

イ「なるほど。細川さんは、今の動物愛護法について、このほかにはどのような問題点があるとお考えですか?」

細「そうですね、前回の法改正でですね、生後56日未満の犬猫に関しては、販売のための展示はできないと法律にかかれたんですね。ただ、法律が有効になる時期なんですけども、それ自体もまた法律で決めましょうということで、現在はですね、56日じゃなくてそれより一週間短い49日未満での規制というふうになっていまして、これが問題というふうに思っています。」

イ「ほう、幼い犬や猫の販売規制、49日と56日、あんまり違いがないような感じがするんですけれども、これはどうして問題になっているわけですか?」

細「そうですね。幼い犬猫については、とりわけ業者の側から見たら非常に大きな違いがあります。一週間違えば、大きさもぐっと違ってきますので、買う側にとってはより”かわいい”という印象になってですね、売れやすいし、管理コストもかかりにくいということで、できる限り早く売りたいというで、違ってきます。

ただ、一週間早く売るということは、親や兄弟から離れ離れになっていくということで、人間で想像してもらえればいいんですけども、たとえば3才児とか5才児くらいで親や兄弟から離されて、ひとりで暮らしてくださいねとなると、犬の世界でいえば、甘噛みとか噛みすぎないようにとか、そういったことが勉強できないまま大きくなってしまうといった心配があります。具体的には、噛み癖とか、吠え癖とかになってくるんですけども。

たとえば、アメリカやスウェーデン、イタリア、スペインといった海外の研究がありまして、そういったところでは、生後56日未満であることがいいと研究結果が公表されてるということです。日本でも、専門家による研究・検討がなされていまして、その結果、生後49日と56日とでは、問題行動に(ここうまく聞き取れませんでした)違いがありますよと。大きくはないものの、ありますよという結果が出されたと聞いています。

やはり人の立場ですね、業者ですとか飼い主さんの人の立場から考えると、そりゃ小さい子がいいからっていうことで利害は共通するんですけども、じゃあ売られる動物の立場にたってみると、親や兄弟から小さすぎるときに離されたら、それはどうなんですか?ってことを想像してみて頂けると、そこは早すぎる時期に離すのはよくないってなるということですよね。」

イ「うーん。動物繁殖の数値の規制をかけるというのと、幼い犬猫の規制をかける、こういった規制が実現すれば、動物は守られるようになるとお考えですか?」

細「そうですね、あの、ペット業者を規制するだけで動物が守られるかといえば、それは正確ではないと思っていまして、この動物愛護法がもっと踏み込まなければいけない課題というのは、あります。

動物愛護法っていうのは、命あるものとして位置づけられてはいるのですが、動物そのものを守るという目的では今はなくてですね、それを守ることによって、動物愛護の気風、社会の中の雰囲気ですね、これを維持する、よくするというための法律なので、そうなると、動物はですね、”物”だとすると、たとえば児童虐待なんかがあったときには、自治体が緊急的に救っていく制度があるんですけども、動物はそういった制度がないですので、救えないんですね。

たとえばですね、悪質な繁殖施設や、あとは業者に限らず不適切な飼育をしているところがあったとしたら、犬猫の所有権というものが所有者にあるので、いくら虐待状態だったとしてもですね、他の人が救いに行くことが出来ないんですよ。これを無理にやろうとすると、窃盗罪とか住居侵入罪などの罪に問われてしまうといった問題があるんですね、はい」

イ「ではですね、その動物愛護法ですけれども、今回の改正、どのような改正が望ましいと細川さんはお考えでしょう」

細「そうですね、法律っていうのは建前としては世の中の雰囲気、意見を反映して作られたり改正されたりっていうものなので、世の中の多くの人たちが動物の保護とか、動物の福祉とか、動物目線の発想を持つことが大事だと思います。そういった、動物目線での想像してもらうことでですね、少なくとも、商業主義のためだけに動物を利用するといったことはできる限り控えるべきではないか、という風に思いますし、そうすると、ペット業者さんへの規制はもう少し強化するべきだとは考えます。

法律は、まあ人のために作られているもんだって建前はあるのはあるんですけども、これは世界的にみて”法律=ひとのため”っていう定義付けはどこにもないんですね。これまで日本のなかで前例がないというだけなので、動物のための法律をつくるということは、これは不可能ではないとわたしは考えてますので、徐々ではあってもですね、この動物を守るための法律ってものに向かっていくことが望ましいんじゃないかなと考えています。」

イ「はい、よくわかりました、細川さんどうもありがとうございました」

細「ありがとうございました」

社会の見方・私の視点 を聴くアーカイブ
http://www4.nhk.or.jp/r-asa/336/

※細かい会話の細部はテキスト化に伴い、内容に影響がない範囲で適宜編集しています。

犬もねこもにんげんも|KATZOC PROJECT

Neko Apartmenrの犬猫の保護活動・受け入れのすべては、特定非営利活動法人KATZOC(カゾック・大阪市に申請中)にて行っていくことになりました。 カゾックは、動物の保護をして里親さんへつないだり、譲渡会イベントの開催や、沖縄県宮古島の保護犬や猫の受け入れ連携などしています。 犬もねこもにんげんも垣根なくいろんなカゾクを応援する10年後のコミュニティをめざして活動しています。